豆百科 Bean encyclopedia

豆の生産から消費

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種まきから収穫まで
種まきから収穫まで
  • 種まき
  • 発芽
  • 開花
  • 受精
  • 刈取り

豆類の栽培は、種まきから始まります。時期は、越年生のものは別として、豆の種類と地域によって多少のずれはあるものの、5月の中旬から6月の初旬です。種まきから発芽に要する期間は、地温や土壌水分によって異なりますが、約2週間。開花時期も豆の種類、品種、環境によって差がありますが、だいたい7月から8月にかけて咲き、種類や品種によって白色、赤紫色、紅色、黄色などの花をつけます。

開花後、受精が行われ、莢がつき始めると、豆の粒はそのなかで大きくなります。成熟期が近づくにつれ、莢の色は淡緑色から褐色に変化します。熟莢率が、例えば小豆では70~80%、いんげん豆では80~90%に達したとき、成熟期と判定され、刈取りが行われます。これは、豆の種類や品種、さらに地域によってかなり幅がありますが、おおよそ9月から11月にかけてです。

種まきから収穫まで
  • にお積み
  • 脱穀
  • 袋詰め

刈取りの後は、豆の種類によっても異なりますが、多くの場合は、まず、刈り倒された状態で2~3日の地干しを行い、その後、それらの株を交差させて積み上げ、ゆっくりと自然乾燥させる「にお積み」を行います。

そして、2週間前後たって乾燥した頃に、豆を莢から取り出す脱穀が行われ、選別の後、袋詰めにされます。なお、にお積みは重労働となるため、機械化による省力的な収穫方法や乾燥方法も普及しつつあります。

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豆の加工と製品
種まきから収穫まで

豆を使ったいろいろな製品

豆には、すぐ食べられるいろいろな製品があります。また、煮豆や赤飯など食事と結びついたもの、おやつ・お茶うけ・おつまみなど嗜好品として食べられるもの、このほか、種々のパンや豆板醤など、多岐にわたります。

便利な豆の素材製品

豆を使う際に、時間、手間、設備などの面で便利な素材製品として、缶詰、瓶詰、レトルトパウチ、冷凍品などがあります。家庭用や業務用として新製品が開発され、いんげん豆(金時豆・大福豆ほか)などの水煮、やや固めに蒸し煮した蒸かし豆、また、ゆで小豆や各種の餡といった伝統的なものまで、いろいろな製品が市販されています。

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家庭での上手な豆料理

豆の上手な選び方と保存法

豆の品質を見分けるには、豆粒の形状・粒大・粒揃い・光沢などを基準にします。良質の豆は、粒が揃い、膨らみがあって、色つやの良いものです。洗って水漬けすると浮いてくる豆は質が良くないので、これをすくって取り除きます。
豆類は、湿気と温度の変化を嫌うため、家庭などで保存するときも、冷暗所を選ぶことが大切です。大きめの缶に入れ、蓋に購入日を記入したシールを貼っておくと、使うときに役に立ちます。

豆の下煮の仕方

【水漬けについて】

家庭で使う場合は、水漬けの必要がない小豆のほか、いんげん豆などがほとんど水漬けの必要がなく、洗ってすぐに火にかけて、調理を始めることができます。特に、サラダなど豆が裂けないように煮上げたいときや、少し硬めの豆を好む場合には、この方が適しています。

【道具について】

豆を上手に煮るには(豆1カップくらいの場合)、口径20cmくらいの厚手の鍋を使用すると良いでしょう。

【下煮について】

豆は厚手の少し深い鍋を使い、豆の4倍くらいの水を入れ、蓋はしないで中火にかけます。5~7分煮立ててから差し水(1カップ前後)をし、浮いている豆が沈んだところで蓋をして、煮立ったら中火~弱火にし、タイマーをかけて煮続けます。煮ている途中で水が少なくなって、豆が湯から出ていることのないようにチェックします。水が不足したときは差し水をしてください。豆の種類によって多少異なりますが、煮始めから50~60分くらいで、丸くふっくらと煮上がります(一粒つまんで指先で軽く押してつぶれるくらい)。

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日本の伝統食としての豆料理
日本の伝統食としての豆料理

昔から伝わる日本の伝統食には、豆料理が数多くあります。
黒豆やきんとん、小正月の小豆粥、彼岸のぼた餅やおはぎ、端午の節句の柏餅など。このような行事食のほかにも、祝い事に欠かせない赤飯やおこわ、冬至のいとこ煮、また、善哉や汁粉などもあります。
これらの料理の多くに使われているのが、小豆と大豆です。小豆には赤い色の美しさとともに、 赤い色の持つ魔除け的な意味合いがあり、昔から「ハレの日」に供され、人々の無病息災への願いが込められてきたとされています。

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豆によって生かされる和菓子の話
種まきから収穫まで

生活文化のなかで育まれた和菓子

和菓子は、千年を超える長い歴史のなかで、日本人の生活文化と密接に関わり育まれてきました。
それは、日本人の感性に大きな影響を持つ季節感があることや、丹念にひとつひとつ作られる手作りの個性があること。神社・仏閣などの門前町や城下町で生き続けた地域の特性と伝統の味わいがあることなどのほか、近年、若者の間では花鳥風月を題材とする和菓子の意匠を評価する人が増えているといわれています。
そして、最も注目を集めているのが、健康的な菓子であるということです。

和菓子は豆から作られている

和菓子の原料は、小豆や手亡などの豆、餅米や米粉、小麦粉などの穀類、いも類やごま、寒天、砂糖など、植物性のものが多く用いられています。動物性は、卵以外あまり使われず、コレステロールの大敵といわれる動物性脂肪をほとんど含んでいません。
そして、なんといっても健康的な菓子といわれる一番の理由は、和菓子そのものといっても過言ではない「餡」が、主に豆を原料として作られているからです。

和菓子の命ともいえる餡

「餡」は、豆のおいしさを最大限に生かすよう、工夫して作られています。特に「こし餡」は、豆の子実のなかに含まれる「餡粒子」(数個のでんぷん粒が細胞膜に包まれた状態のもの)を傷つけずに取り出して糖蜜をからめたもので、その独特の食感と風味が和菓子の味わいを高め、「和菓子の命」ともいわれています。
「餡」には、使われる材料(主に小豆、大納言、手亡、大福豆、金時豆、うずら豆、青えんどう、白小豆など)や製法により、数多くの種類があります。そして、その餡がそれぞれの和菓子に独特のおいしさと個性を与えてくれます。和菓子は、豆によって生かされているのです。

【参考文献:「豆類百科」日本豆類基金協会発行】

店舗ご案内 Store

明治17年、豆の雑穀商であった「角田 政吉」が京都夷川(現在と同じ場所)にて創業。
明治20年に五色砂糖掛豆(現在の夷川五色豆)を考案し、その後、京都駅で販売したことから京都名物となる。
現在、京名物 夷川五色豆をはじめ、こだわりの豆菓子や京銘菓すはまだんご・月しろなど、おいしい豆にこだわった商品を展開。常時30種類以上を販売している。

本店
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